国宝『吉祥天女像』を見た時の思い出

まっ暗な部屋の中に入ると、奧のほうで、照明を浴びた一枚の絵が浮かび上がっていました。そして、近づいてみると女性が描かれています。

 

「ずいぶん古ぼけた絵だな~」というのが、初めて『吉祥天女像』を見た時の印象でした。しかし、さらに近づいてよく見みると、様々な柄(がら)の衣が煌(きら)びやかに描かれていているではありませんか。味わいもあります。

 

「おー、これはさすがに国宝だけあって、凄い作品だな~」と考えを新ためたのです。

 

私の自宅は、東日本大震災で被災した街にあります。今から約2年前、復興を祈って、薬師寺の文化財約60点がこの街の博物館に来たのです。その中でも、『国宝、吉祥天女像』は見物でした。なにせ、普段は、めったに人前に展示されることがないのですから、この機会を見逃したくはありません。

 

 

 

当日は、一人でバスに乗って博物館に行きました。お昼時に行ったので、思いの外空いています。そして、案内に沿って、どこか重々しい雰囲気がする、真っ暗な部屋に入ったのです。

そこには目当ての『吉祥天女像』がありました。15坪ほどあるその広い部屋には、その作品しかありません。作品は、50㎝×30㎝程の大きさで、麻布に描かれています。

そこには、眉毛の濃い、髷を結った、ふくよかな天女が描かれていました。天女は、いかにも日本風の顔つきをしていて、手のひらには赤い球を載せています。可愛いらしいと言うよりは、しとやかで凜々(りり)しいと言った感じがします。

 

 
この絵の一番の特長は、なんと言っても、その衣装の華やかさにあるでしょう。上衣は花柄で、袂には丸い模様が繊細に描かれ、腰から下にまとった衣には菱形模様が規則正しく描かれています。衣装が風に揺らめく感じもとても素晴らしいです。昔の作品にしては、かなり派手な印象が歪めませんが、その美しさには、思わず心を奪われてしまいます。

 

 

 

その他にも、国宝『聖観世音菩薩立像』を始め、多くの薬師寺の名宝を見て回りましたが、どれも気品と伴に迫力があり、見応え十分の展覧会でした。

 

 

今回の見所は、やはり、『吉祥天女像』につきます。麻布(あさぬの)の色彩画としては日本最古のものだそうですが、その希少性は充分感じることができました。そして、あの美しさと繊細さは、一生忘れないようにしたいと思います。

カテゴリー: 未分類 タグ: , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です